ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

長男、不登校になる⑨~秋

 長男の通信校では9月に前期試験がありました。コロナのためオンラインで行うことになっていたのですが、オンラインに苦手意識のある長男にはこなすことが出来ませんでした。それは想定できていたので、長男には登校して学校で受ければいいと伝えていました。しかしそれも出来ず、9月に入るとまったく登校することが出来なくなりました。長男の中でどんな心境の変化があったのかわかりませんが、何となく学校に対するモチベーションの低さを感じていました。

 

 少し時間的には遡りますが、8月下旬、長男に学校に行ったらどうかと言い始めた頃、布団に入っても寝付けないと訴えてきました。

 学校に行かなくなってから少しずつ深夜まで起きていることが多くなり、やがて朝まで寝ていないこともあるようになってきました。当然食事は昼と夜の2食のみ。もともと食が細い方だったため、昼も少なめで夕飯だけで栄養のほとんどを摂るような生活になりました。さすがに親として心配なので、何とか早く寝るように勧めたのです。そこで布団に入っても寝られないのだと打ち明けてくれました。

 長男のこの膠着状態を打破するためなら藁にもすがる気持ちがありましたので、長男には医者に行くかと聞きました。不登校が始まったころにも一度、病院受診を提案してみましたが、その時は嫌がりましたが、この時は「どっちでもいい」との返事でした。

 親の話に素直に耳を傾けることが出来ない長男は「嫌」はハッキリ言うことが出来ますが、「OK」は素直に言えません。大体OKの場合、この「どっちでもいい」を使います。「夕飯外食でもいい?」と聞いた場合、OKの場合は「どっちでもいい」、嫌な場合は「面倒くさい」です。長男との質疑応答は大体この2つの言葉で成立しています。

 正直、自分で長男に聞いておいてこの返事に驚きました。一度断られていたこともありますが、それほどまでに困っていたという事実に驚いたのです。

 

 気持ちが変わらないうちにと、私は近所の思春期精神科のある病院を探しました。高校生の不登校や引きこもりを対象とする医科を思春期精神科とか思春期外来と言います。子どもの発達支援をする児童精神科などとは違います。私の住む東京都には思春期精神科はすぐに見つかりました。しかし私のこれまでの仕事での経験から、薬ばかり出す医者やろくに話も聞かない医者がいる、つまり当たりはずれがあることを知っていました。ハズレを引かないために、いくつか条件を絞って探すことにしました。一つはカウンセラーが常駐していること。医者がイマイチだったとしても、カウンセラーに話を聞いてもらえれば効果があります。二つ目はデイケアを行っていること。長男が精神病かどうかは別として、精神病の人が薬やカウンセリングによって心の平穏を取り戻しても、社会の中で生きていくにはまだまだ訓練が必要です。デイケアプログラムを行っているところは、社会復帰についてまで考えているということです。

 余談ですが、精神科を探す際、口コミ情報は当てになりません。大体において精神科を受診した人が口コミを書いているわけですが、精神病には特効薬があるわけではありません。したがって、患者にとっての医者の良し悪しは相性次第です。薬で良くなる人もいれば、話をたくさん聞いてもらいたい人もいます。その相性が合えば良い口コミになるし、相性が合わなければ悪い口コミになります。数件程度の口コミ情報は偏った情報で信頼できないのです。

 とはいえ、近隣の良い医者を教えてくれる方法は考えつかないので、まずはネットで検索するしかありません。上記の条件になるべく合うような、しかも通いやすい近隣の病院を探し、なんとか「これは」と思える病院は数件しか見つかりませんでしたが、さっそく電話で予約することにしました。しかし、厳しい現実が待っていました。

 

 まず最も近所の病院に電話をすると、新規外来はやっていないとのこと。いきなり出鼻を挫かれました。そんなこともあるだろうと、2件目の病院に電話をすると、「予約は2か月先になる」とのこと。長男にとっては「今」なんだと思い電話を切りました。3件目、電話をかけようと思ってよく確かめると、「新規受付を停止しています」の文字が・・・。3件目で早くも心が折れかけました。

 児童発達の専門病院や発達支援センターの予約を取るのには半年待ちというのはよく聞きます。ひどい場合は1年以上待たされます。児童発達を診るのに1年以上待っていたら状況はどんどん変化してしまうため、地域障害児支援における大きな課題であると言われています。その状況は少し上の世代である児童精神科にも同じことが言えたようです。

 長男のために気を強く持ち、もう少し範囲を広げて検索し、自宅から電車で1時間のところを見つけました。ちょっと遠いとは思ったものの、電話だけでもと思い、連絡すると、なんと最短で同じ週の金曜日に予約が空いているとのこと。一瞬信じられなくて聞き返してしまい、あるいはそんなに人気がないのかと訝しくも思いましたが、善は急げ、8月の最終週の金曜日からクリニックに通うことにしました。

こうして、長男の受診生活が始まりました。