ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

長男、不登校になる⑯~卒業

高校卒業まで1か月を切り、学校の先生と面談をしてきた私は、帰宅後すぐに長男と進路については話し合いました。

私は、親である私が長男の進路を決めてしまったり導いてしまったり、あるいは私の考えが長男の決断に影響を与えてしまうことは避けたいと考えていました。あくまで長男自身に自分のこれからのことを決めてもらいたかったのです。しかし私と話をする以上、どうしても私の気持ちが入り込んでしまいますし、何もないところから話ができるほど長男は柔軟ではありません。

そこで、まず学校の先生は長男の能力を評価していたこと伝え、勉強を続ければもっと可能性が広がるかもしれないと言っていたと伝えました。進学は今の長男にとっては難しい進路だと考えていたため、敢えて先に話を出しました。すると長男は、「進学をしても通い続けられるかわからない」と答えました。長男なりにきちんと考えており、不登校だった自分を自己分析していたわけです。

それなら、「働く」ことになると伝えました。ただ、学校の先生から、いきなり正社員としての働くのは大変だし、これから急いで探すと条件の悪い職場になってしまうこともあると聞いたと伝えました。あくまで私の意見ではなく、学校の先生から聞いた話として伝えました。また、働く練習をする場所として就労移行支援のこともパンフレットを見せて話しました。長男としては、これらの話を聞いてまた悩んでしまったようでしたが、「進学」という進路が消えたことで、選択は絞られたように感じられました。

この日の話し合いは、一旦ここまでにしました。

 

数日後、中学を卒業して高校に進学する長女のこづかいについて家族で話をしているときのことでした。

冗談めかして長男が「俺もこづかいがほしい」などと言い出しました。私や妻は高校を卒業したら自分で稼ぐんだとツッコんだんですが、ついでにこれからはこづかいを貰う側ではなく、あげる側(家にお金を入れる側)になるんじゃないかと話しました。「え~」といいつつも「いくらくらい?」と聞いてくるので、「給料の5%くらいかな」と適当に答えておきました。「じゃあ10万円なら5千円か」などとぶつぶつ計算しているようで、どうやら働くことを考えているようでした。

長男はこの頃、卒業という目標を達成した自信からか、日常の会話の中で今後のことを話してくれるようになっていました。以前は妻が話しかけてもほとんど応えてくれないため、私が二人きりの時間を作って話し合いをしていましたが、妻とも進路について話すようになっていました。成功体験が長男をさらに成長させてくれたようです。

 

3月12日(土曜日)、長男は晴れて卒業式を迎えました。

 

通信校ですが卒業式は学校で行うことになっていたのですが、コロナのため直前でオンライン開催に変更になりました。長男は照れ臭いのか、興味のないフリをして別の部屋へ行ってしまったため、私と妻がオンライン上で出席しました。

いつもお世話になっている先生から長男の名前が呼ばれたとき、ようやく卒業をするんだなと実感が湧いた気がしました。長男自身も不安だっただろうし、簡単な課題を提出するだけでも大変な頑張りが必要だったに違いありません。しかし、思い返すと私たち親も本当に不安で心配しました。時には裏切られて落ち込み、仕事が手につかないことも多々ありました。それでも一歩一歩前に進み、今日と言う日を迎えたのです。卒業という壁を越えても進路という壁があったため、前に進んでいるのかわからなくなっていましたが、卒業式のこの瞬間が、長男が間違いなく前へ進んでいることを改めて教えてくれました。

それから数日後、あらためて卒業証書が自宅に送られてきました。

 

さて、卒業式は済んでも長男の進路の話は終わりません。数日後、改めて長男と話をしました。先ほども書いた通り、長男は働くことを考えているようでした。就労移行支援の話もしましたが、いまいちピンときていないようで、選択肢に挙がっていないようでした。そのため、週に数回でもいいので、アルバイトから始めることにしました。ただ、長男はまだ18歳です。やりたいことが見つかったらいつでも大学や専門学校を目指しても構わないと伝えました。

夏ごろにアルバイトの面接を何度か受けたけど採用に至らなかった苦い思い出があります。その失敗体験から、再び面接に挑戦することができるかどうか心配でした。実際、その後長男はアルバイトを探している様子はあるものの、なかなか面接を受けには行けていないようでした。

 

3月も残り2週間を切った頃、学校の先生と最期の面談をすることにしました。最期の面談は、長男を交えた3者面談でした。長男にはお世話になった先生に最後の挨拶をしに行こうと誘い、先生には長男にハッパをかけてもらいたいとお願いをしました。

長男が不登校になったことにより始めたこのブログですが、卒業を迎えたことにより、長男はもう「不登校」とは言えなくなりました。そのため「長男、不登校になる」というタイトルは次で最後にしようと思います。次回、残り10日ほどの記録を記します。