ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

長男、不登校になる⑮~卒業への道

長男が不登校になって1年が経過しました。1年・・・40過ぎの私にとっての1年はさほど長くはありませんが、長男のことを考えると、とてつもなく長い1年だったように感じます。

ちょうど1年前に年末年始の休みが明けて、高校へ通うことができなくなり、不登校になってしまった長男。通信制高校編入し、一度は昼夜逆転した生活まで堕ちたもののクリニックに行くことで生活リズムを取り戻し、再び定期的に登校し始めていました。私はそんな一年前のことを思い出し、年末年始の休暇が明けるとまた学校に行かなくなるのではないかと危惧していました。しかし、長男は年が明けても学校に行きました。

年末年始の休暇を利用して、私も学校の先生にメールを出していました。長男は一応高校3年生なので、年が明けると卒業目前ということになります。週に1~2回とはいえ、学校の課題はどれだけ提出し、卒業は可能なのか、それを確認するためでした。先生からの回答は、私の心配を吹き飛ばしてくれました。

 

先生によると、12月に頑張って通ったため、すでに定期テストやスクーリング課題は終えており、あと1回登校すれば終わる程度しか残っていないとのことでした。さらに、先生は卒業後の進路についても心配をしてくれていました。私はすぐにでも長男の頑張りを言葉にして褒めてあげたいところでしたが、まだ1回残っているとのことだったので気持ちを抑え、まだそっとしておくことにしました。

すると長男は、メールの回答のあった翌日、何も言わずに学校へ行きました。先生の話を信じれば、これで卒業はできるということです。世の中の大半の高校生にとって、「卒業」は目標ではなく通過点でしかありませんが、高校に通うことが難しかった長男にとっては間違いなく目標だったし、一時はその目標すらも朧げでした。しかし、長男は自分の力でそれを克服し、いま勝ち取ろうとしています。私たち親や学校の先生、クリニックなど、色々なサポートはありましたが、最後は自分の力でやり遂げるしかありません。目標を達成することができた長男の成長を、私はとても嬉しく思いました。もっとも、その時の私の心境は「嬉しい」というより「安心した」「一息ついた」と言った方が適切でした。なにせ冒頭でも言った通り、前の学校で留年を言い渡されたときには、3年間で高校を卒業することはできないと思いましたし、体感的には3年以上高校生活をしていたような気がしていましたから。それほど長い長い道のりでした。

 

一応1月下旬に、母親が学校で先生と直接面談し、卒業するための単位はすべて取得することが出来たことを確認しました。しかし人生は高校を卒業した後も続いていきます。高卒資格も大切ですが、卒業後に何をするかの方が、人生においては重要です。一つ壁を乗り越えたら、また壁。卒業を前に長男と進路について向き合わなければなりませんでした。

長男の最後の登校の際に、先生から長男に、進路について話をしてくれているはずでした。ですから1月中は長男なりに考える期間としていました。しかし何のアクションも見せないまま2月を迎えたため、改めて長男にどう考えているか訊いてみました。

 

長男の応えは、「どうしていいかわからない」ということでした。

卒業まで2か月を切ったこの期に及んで「わからない」というのは、普通だったら悠長すぎる話ですが、不登校で引きこもりの長男を「待つ」のには慣れっこです。

私はまず、将来の進路は無限にあるということを伝えました。その上で、差し迫った卒業後の進路としては、大きく分けて2通り考えられるのではないかと伝えました。大学や専門学校などへ行って「勉強をする」か、アルバイトでも何でもいいので「仕事をする」か。それ以外にも選択肢はあるのかもしれませんが、細かい選択肢は置いておいて、まずはおおまかにどちらかを選んではどうかと伝えました。長男としては、まだ決められないとのことだったので、考える時間を与えて、改めて話し合いをしようということにしました。

 

次の長男との話し合いまでの間に、私は学校の先生と面談をすることにしました。これから長男と進路について話し合っていく中で、どんな声掛けをしていけばいいか、そのヒントをもらえればと思っていました。学校の先生と直接会うのは2度目でしたが、メールでのやりとりを頻繁にしていたため、まったく久しぶりという感じはしませんでした。

 

まず先生からは、長男は自分で思っているほど能力がないわけではないと言ってもらえました。通信制の高校なので色々な課題を抱えた子が通っており、先生の経験上、長男は決して能力が低いわけではないとのことでした。やる気があるなら勉強を続けて欲しいし、本当は何かやりたいことがあるけど、自信がないだけではないかと。長男と話し合う中で、実は私も同じように感じることがありました。しかしだからと言って、今の長男が4月から改めて大学を目指したり専門学校に通うことはできるでしょうか。人はそんなに急に変われるものではありませんし、長男にそれだけの強い動機があるようにも思えません。先生に認めてもらえたのは有難かったのですが、現実的には進学は難しいと感じていました。

一方で、先生は高校を卒業していきなり職に就くのは難しいということも言いました。高校にも企業から求人情報は来ているそうですが、言い方は悪いですが肉体労働が多いそうで、余程やりたいことでない限りは続けることが難しい。給料や待遇もあまりよくないこともあるとのことでした。引きこもり状態の長男が卒業後にいきなり正社員として働くのは現実的ではないのはわかっていました。しかし能力的に低いわけではないと言われたあとだけに、道のりは長そうだと感じました。

面談の結果として、先生からは専門学校のパンフレットを数冊と、就労移行支援の事業所のパンフレットをいただいてきました。就労移行支援について、先生はそれほど詳しくはないようでしたが、自立支援医療制度を利用している長男は利用対象であると思っていました。このまま自分で動いていけないようなら、卒業後も何らかの支援が必要です。私たち親の相談先も必要です。就労移行支援は自力での就労が難しい場合にサポートする制度で、最長2年間、生涯で何度も利用できる制度ではないため、長男にとって安易に選択する進路ではないと考えていましたが、進路の一つとして見せておく必要があるとも思いました。

 

帰宅後、数冊のパンフレットを手に、長男と進路についての話し合いに挑みました。高校卒業まであと1か月に迫っていました。