ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

長男、不登校になる⑫~徒歩4時間事件

長男の不登校を扱った記事は12回目になりました。このブログのほとんどが不登校のことになっています。それだけ今の私の頭を占めている懸案事項なのだと思います。

 

さて、長男がクリニックに受診をはじめて1か月が過ぎ、アルバイトの面接に行き詰まりを見せ始めたころ、標題の事件が発生しました。「事件」というとおおげさですが、私にとっては心がポッキリ折れた事件でした。

 

長男は不眠に悩まされてクリニックに通い始めました。長男は投薬を選択しましたが、当初は薬を飲んだり飲まなかったりでした。しかし医師の先生からのアドバイスで毎日同じ時間に飲むようになり、薬の効果なのか長男自身の考えが改まったのか、少しずつ生活リズムが正常に戻っていきました。さらにまた、先生からのアドバイスで日中に外出をするようになり、そして前回の記事のようにアルバイトの面接に出かけるようになったのです。

 

そんな改善の兆しが見えてきた金曜日、長男はクリニックに受診の予約を取っていました。私は秋になると喘息が悪化するため病院に通っており、通院後に長男の受診に付き合うことになっていました。特に示し合わせたわけではないのですが、その日は母親も仕事が休みでした。

私のアレルギー科の病院は常に混んでいて、朝に診察券を出して昼に診察を受けるような病院でした。私はいつも通り8時過ぎに病院で診察券を出し、近くでコーヒーを飲んで順番を待っていました。しかしその日に限って順番が遅く、診察が終わったのが13時過ぎになってしまいました。前にも書いた通り、長男のクリニックは電車で1時間の場所にあります。14時に予約をしていたため、私は通院先から自宅に電話をし、母親から長男に、「一人でクリニックに行って待っていてほしい」と伝えてもらいました。

長男が一人で出かけてくれるか不安でしたが、母親からの報告では、きちんと時間通りに家を出たとのことでホッとしました。私はなるべく駅の改札で合流できるように、急いで後を追いました。

 

さて、私は通院先から電車で1時間かけてクリニックに行きました。計算では、私がクリニックに着くのとちょうど同じくらいの時間に長男は到着するはずでした。ところが、クリニックに着くと長男の姿はなく、しばらく待ってもクリニックに現れませんでした。長男はスマホを持って出かけているため、すぐに電話をしましたが、出てはくれません。LINEにもメッセージを入れましたが、既読になりません。

どこかで迷っているのか、それともクリニックに一人で入る勇気がないのかと思い、しばらくクリニック周辺を探し、その後駅の改札口で待つことにしました。しかしやはりいくら待っても長男を見つけることはできませんでした。

 

予約の14時から1時間半ほど探し回った末、諦めてついにクリニックに連絡をしました。予約をすっぽかしてしまったことを謝罪し、薬だけでも処方してもらいました。先生には良い兆しが見えていただけにガッカリしたと伝えましたが、特に励ましの言葉はもらえず、長男の薬を手に夕暮れの中を電車に揺られて帰宅しました。

 

長男から連絡があったのは18時半ごろでした。連絡が取れなくなったクリニックの予約時間から4時間以上が経っていました。長男の第一声は「疲れたから迎えに来て」でした。前にも書きましたが、長男はいつの頃からか行き詰ると歩くという特徴があります。行きたくない学校に行かなければならないときも、電車で行けば30分もかからないところを、1時間かけて歩いて登校しました。そしてこの日も、クリニックの近くまで行くことはできたけど、入ることが出来ずに歩いて帰ってきたようでした。しかし電車で1時間かかる距離にあるため、徒歩では4時間以上かかったというわけです。

9月の下旬とは言え、まだ日中は暑さが残っていました。日頃ほとんど引き籠っている長男は途中で脱水症状に陥って嘔吐し、コンビニで水を買って飲みながら帰ってきたとのことでした。電話をしてきた場所はすでに家から20分足らずの場所。ただ私はまだクリニックから帰っておらず(再予約となったため診察にだいぶ待たされていました)、帰ってから車で迎えに行くので待つように伝えたのですが、待つくらいなら自分で帰ると言って聞かず、結局そのまま自力で帰ってきました。

 

ゲッソリと疲れ果てて帰ってきた長男を見て、とりあえずホッとしながらも、なぜクリニックに行かなかったのか、なぜもっと早く連絡をくれなかったのか、問い質したいことが山ほどありましたが、すべて飲み込むことにしました。口に出すと感情的になって怒りや嫌味をぶつけてしまう気がしたのと、「少し良くなってきていたと思っていたのに、またこんなことをするのか」という脱力感が対話をする気力を削いだのだと思います。

 

長男は帰宅すると水分補給をし、余程疲れていたのか、問い質されるのが嫌だったのか、すぐに寝てしまいました。この日以来しばらく、私は長男と対話をする気力が明らかに落ちてしまいました。そして長男の将来について、色々と考えを巡らせるようになりました。