ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

パパの子育てのススメ

私は末っ子が4か月のころから1年間育児休暇を取得しました。

当時勤めていた会社では男性で1年間育児休暇を取るのは私が初めてで、私自身も係長と言うポストに就いていました。しかし、一応制度も整っていたし、年度切り替えの時期に休暇に入ったので比較的取得しやすかったと思います。当時の会社には通算18年間働いていましたが、育児休暇を取っていた1年間は間違いなく18年で最良の一年でした。だからこそ是非世の中のパパにも育児休暇を取得してもらいたいと思いますし、男性がもっと子育ての役割を担って、大げさではありますが、「子育て=ママ」ではない男女平等の子育て社会が実現されればいいと思います。

 

ワークライフバランス」や「イクメン」という言葉が使われ始めて随分経ちますが、私はまだまだ男性は「子育てに参加」しているという程度ではないかという気がしています。「参加する」ということは、メインはあくまで女性であり、そこに男性が加わることを意味します。

運動会などのイベントだけでなく、授業参観や習い事などの休日イベントにはたくさんのパパが集まります。休みの日に公園やショッピングに行くとパパの姿がたくさん見られます。しかし平日はどうでしょうか。私はいま保育園で仕事をしていますが、お迎えに来るのは8割がママです。子どもが熱を出したときに迎えの連絡をするのも、ほとんどがママだし、実際迎え来るのもほとんどママです。(コロナによって在宅リモート勤務という働き方が増えてきたため、最近では緊急時のパパの迎えも時々見られますが、まだまだママが中心とみていいでしょう。)

日本人の育児にかける時間は男性と女性では大きく違うというデータがありますが、保育園で働く私としては肌感覚でも感じるところです。イクメンだ何だと言っても、少し男性の意識が変わりつつあるという程度なのが現状なのでしょう。

 

女性の生涯就業率のM字カーブを示されて「女性の社会進出は・・・」、という話を耳にしたことがあると思います。日本では経済成長のために働き手として女性の社会参加を促進しています。しかしパパが子育てに「参加」している程度だと、ママが仕事を始めても、ママは子育てに家事に仕事にと一人で何役もこなさなければならなくなります。子どもにかける時間も減り、ママも疲労で家庭は冷えていきます。経済的には豊かになっても心はちっとも豊かになりません。つまり女性の社会進出のためには男性の「子育て進出」が必須なのです。

 

パパが子育ての主役に躍り出るにはどうすればよいでしょうか。

ひとえに世の中の意識だとか働き方を変えることが必要だとは思いますが、それ以前に身の回りでできることを考えたいと思います。子育てをするパパが実践すべきことを考えました。

 

1 家の仕事を分担しない

「子育て」というと、子どもに関わることばかりを考えてしまいますが、子どもと食事をするのも子育てです。子どもの服を洗濯するのも、子どもがいる環境を整え、掃除するのも子育てです。そうなると24時間すべてが子育てと言えなくもないですが、少なくとも掃除や洗濯、食事と言った家事のすべては子育てに含まれると考えていいでしょう。

そして子育ては想定外の連続です。特に赤ちゃんは毎日同じ時間にお腹がすいて同じ時間に寝るわけではありません。思っていた通りには進まないと考えておいた方がいいでしょう。そんな中で「食事を作るのはママ」「お風呂に入れるのはパパ」と決めてしまうと、できないときや遅くなったときに揉めたりイライラしたりする原因となります。

私は、家事は「苦手」はあるけど「できない」はないと思っています。料理が苦手な人はいても、ケータイで調べればレシピがいくらでも出てくる時代で、まったくできない人はいないと思います。電球を変えるのも庭木の手入れをするのも、背が低くてやりにくいことはあっても、脚立に乗ればできますからできないわけではありません。

もちろん、身体的なハンディがあって難しい場合もあるでしょうが、基本的には家事はパパやママにしかできない専門的な仕事などはほとんどなく、パパとママがお互いを補いあうことができる仕事と考えていいと思います。早く帰ってきたからとか、時間があるからとかいう意識で家事をすれば、自ずと分業ができ、夫婦が円満でいられるはずです。

 

2 職場には子どもがいるアピール

子どもが生まれたら、まず机に子どもの写真を飾りましょう。パソコンの壁紙もスマホの待ち受けも子どもの写真に変えましょう。周りの人は小さな子がいることを認識します。そうすると、子どもが熱を出したから休んだり、子どものために残業を切り上げたりすることに対して、周囲の理解が得られやすくなります。自分から言い出しにくくても、周りの人が気を使ってくれることもあるでしょうし、子どもの写真を見て「早く帰らないと!」という自分への気づきにもなるでしょう。

最近は子どもが欲しくてもできない人に対するハラスメントになるのではないかと言われます。もちろん職場によっては気を遣わなければならないこともあるでしょうが、私は「子育てをする人にやさしい社会」になって欲しいと思っています。だから最終的には机に子どもの写真なんか置かなくても周りが気を遣えるようになればいいと思いますが、残念ながら私の感じる今の多くの職場環境では、視覚的なアピールをしなければならないと思っています。

 

3 余裕を持つ

1でも書きましたが、子育ては想定外の連続です。上手くいかないことの方が多いと言えます。そんなとき、パパとママの二人で慌てていては上手くいくものも上手くいかなくなります。(二人で悪戦苦闘する姿は子どもが大きくなったら笑い話にはなるでしょうが。)どちらかは余裕をもって冷静にいるべきでしょう。そしてそれはパパの役割だと思います。

ママは出産という大仕事を終えて、子どもを産む体からもとの体へと戻っていきます。しかしうまく戻らずに体調を崩す場合があります。母乳育児によっておっぱいが張ってきたり、ホルモンのバランスが崩れることもあります。産後しばらくは、ママは自分の体を労わることで精一杯になります。

一方パパの方はどうでしょうか。出産したわけではないのでパパになったという感覚がママよりも薄いと言われます。いち早く「ママ」になったママを見て焦ったり疎外感を感じたりする人もいます。しかし私は、だからこそ余裕が持てると考えます。「パパになった実感が湧かない」と思うことは、自分を俯瞰して見えているということです。冷静な考えができている証拠でしょう。冷静ついでに、心に余裕を持ってみたらどうでしょうか。

ただ、精一杯になっているママはそんなパパをみて「もっと真剣に考えてよ!」とか言ってくるかもしれません。というか、言ってくるでしょう。心に余裕を持ちつつ、真剣にママに寄り添うという高等技術が、パパには求められます。

 

4 パパとママが仲良くする

子どもが生まれると家庭の中心は子どもに移ります。子どもは自己中心的でわがままな生き物ですから、家庭の時間は子どもに合わせるようになります。これまでお互いに向き合っていた夫婦の視線は子どもを通すことになります。

微妙に変化した夫婦の関係性を「維持」または「さらに向上」させていくためには、これまで意識しなかった「仲良く」ということを意識的に行った方が良いと思います。もちろん意識しなくても仲良くできる夫婦はたくさんいるでしょう。ですが子どもができることによって夫婦の関係性は必ず変化しますから、敢えて意識をすることは大切だと思います。

意識的に仲良くすると言っても、難しいことをする必要はないでしょう。子どもが寝てから二人の時間を作ってみたり、子どもの写真を撮るついでにママの写真も撮ってみたり。ちょっとママを意識するだけで、夫婦の仲はずっと変わってきます。

 

最後に、パパが子育ての主役にと書きましたが、パパが頑張りすぎるあまり、ママとどっちが頑張っているかでライバル関係になるのは避けるべきです。頑張っていると、つい「俺の方が好かれている!」とか言いたくなりますが、パパとママがライバル関係になっても良いことは何一つありません。大きくなった時に子どもがママを下に見たり、言うことを聞かなくなったり、逆にパパを敵対視するようになります。思春期になると必ず親離れがやってきます。夫婦二人で乗り越えなければならない時期に協力体制を敷くのが難しくなります。

お互いを認め合いながら夫婦で楽しい子育てを目指しましょう。