ひろしせんせーのひとりごと。

44歳の脱サラ保育士ひろしせんせーが書いています。

パパの絵本の読み聞かせ

子どもに絵本を読んであげることを「読み聞かせ」と言います。

読み聞かせには、子どもの心を豊かにする「情操教育」としての側面と、色々な言葉を知り表現力を豊かにする「言語教育」としての側面があります。パパが絵本を読み聞かせてあげることのメリットと、読み聞かせのコツについて書きたいと思います。

 

パパの読み聞かせのメリット

お風呂はパパが担当、ごはんはママが担当など、子どもとの関わりを役割分担していることがあります。しかし遊びに関しては役割分担をする必要はありません。パパと遊んだりママと遊んだり、ひとりで遊んだりみんなで遊んだり、いろんな経験をすることで子どもは成長していきます。絵本だってそうです。ママが一人で担当する必要はまったくないのです。

 

1 ママとの読み方の違い

よく男性脳と女性脳というように、男性と女性では脳のつくりが違います。また育ってきた環境からもパパとママとでは違うでしょう。ということは、絵本の読み方だって、パパとママとでは違います。

具体的には、女性は絵本を読むとき、「これはなに?」「なんこある?」と絵本に出てくるものから話を広げていきますが、男性は桃が登場したときに、「このまえ桃食べたね」など、現実に結び付けて話を広げると言われます。そうすると、同じ絵本でも色々な角度から楽しめることになり、子どもの想像力が広がるのです。

また、パパとママでは声質も違います。一般的には男性の方が低い声なので、怖い本や暗い本のほうが盛り上がると言われています。それに絵本の読み方は一つではありません。ママが思ってもみなかったような読み方をするかもしれません。もしかしたらおじいちゃんだったら、同じ絵本でも渋い味わいの話になるかもしれません。

要は、絵本を読むのはママだけでなく、色々な人生経験を持った、色々な声質を持った人が読んだ方が子どものためになるのです。

 

2 パパとの愛着関係

日本では平日にパパが子どもと過ごす時間は非常に限られています。イクメンワークライフバランスだと言っても、現実にはパパが育休を取らない限りは、平日はせいぜい数時間、もしかしたらまったく子どもと過ごす時間がないパパも多いはずです。そんなパパが休日に挽回するための手段として、絵本をおすすめします。

「パパに読んでもらう」という特別感と、パパの膝の上の安定感、包み込まれるような抱擁感で、パパの絵本の記憶は色濃く残るはずです。子どもは一度では絵本のイメージを掴み切ることができません。だから何度も同じ本を「読んで」と言ってくるのです。パパも何度も同じ絵本を読んであげましょう。子どもは飽きなくても読んでいる方は飽きてくる?そんなときは色んな読み方にチャレンジしましょう。声質を変えて読んだり、関西弁で読んだり、絵本に合わせて体をゆすったり、何度も読んでいるうちにバリエーションが増え、いつしかパパも読むのが楽しくなってきます。

 

ある子育てイベントに参加していたパパに、今後どんなパパ向けイベントがあったらいいか尋ねたところ、子どもとの遊びを教えてもらいたいと言っていました。家ではママの家事を手伝うというよりも、ママが家事に集中できるように子どもと遊べるようになりたいとのこでした。ママは日中、子どもと一緒にいて、「あれもやりたいこれもやりたいのに全然できない!」という状況のはずです。だからこそパパがいるときはママのやりたいことをさせてあげることが、パパの一番の子育てだと思います。

 

とはいえ、何をしてあげようか。そんなときは子どもに「絵本なんてどうかな?」と声をかけてあげてみましょう。子どもに喜んでもらえるだけでなく、成長にもつながるし、パパも大好きになってくれる、パパも楽しい!パパにとって一石四鳥!

 

読み聞かせのコツ

では上手に絵本を読むコツは何でしょうか。初めに言ってしまうと、私は大切なのは「心」だと思います。抽象的で申し訳ないのですが、子どもに「楽しんでもらおう!」と思う気持ちこそが、楽しい読み方につながります。テクニックばかりに気を取られて上の空で読んでいると、子どもにもそれが伝わってしまいます。

もう一つ大切なことは「恥じらいを捨てる」ことです。子どもに絵本を読むのにプライドは不要です。パパが率先して絵本の世界に入り込んでいきましょう。恥ずかしがって遠慮がちに読んでいたら、子どもだって楽しくありません。

そのうえで、より上手な読み方のコツを書きます。

 

1 声の抑揚

まず絵本のお話に臨場感や登場人物の感情をつけるには、声の抑揚をつけることが大切です。明るいシーンは軽い声で、暗いシーンは低い声で、といったように変化をつけると絵本のお話にもリズムが出てきます。

とはいえ声優や俳優でもないのにそんなことはできない。そんなときは表情をつけて読むといいでしょう。登場人物が泣いているときは泣き顔で、怒っているときは怒った顔で、暗いシーンは無表情で、明るいシーンは笑いながら読むと、自然と声にも変化が出ます。もう一度言いますが、絵本を読むのにプライドは不要です。子どもに見えなくても表情豊かに絵本を読むことが大切です。

一方で、子どもが少し大きくなってくると、敢えて淡々と読むという方法もあります。幼児期に入ってくると、読んだ物語から想像を膨らませるようになってきます。物語の捉え方は一つではありません。パパやママが考える以外の方向に物語の想像を膨らませていくこともあります。想像力を掻き立てるために、「敢えて淡々と読む」ことも大切なテクニックです。

 

2 読む場所

絵本を読むときは、読む場所を決めておくと、子どもは集中することができます。リビングでソファに座って読んだり、パパのお膝に座って読んだり、寝室で寝ながら読むこともあるでしょう。そんなときもパパは右で子どもは左など、ポジションを決めるだけで、子どもは集中することができます。

絵本の内容によって読む場所を変えるのもありです。おばけの出てくる話はパパのお膝で、楽しい話は隣に座って。今日は特別、紙芝居のように向かい合って読む日です!というのがあっても楽しいでしょう。子どもと「今日はどこで読もうか」と話しながら決めるのも楽しみの一つです。

 

3 声の大きさ

絵本は大きな声で読めば良いというわけではありません。むしろ私は子どもにきちんと聞こえていれば、少し抑えた声の方が良いと思います。子どもは大人の話し方を見て、その場に応じた話し方や声の大きさを身に着けていきます。公共の場などでは小さな声で話すことを覚えなければなりません。絵本を読む場面によって、ちょうど良い声の大きさを選んでお話をすることが大切です。

また、子どもが集中してくれないなあと感じるときは、敢えて小さな声で話すと、何を話しているのか耳をそばだてます。そうすると自然と集中してお話を聞いてくれます。

色々な意味で、ちょうど良い声の大きさを選んで読んであげるといいでしょう。

 

改めて言いますが、絵本を読むのに大切なのは「心」です。小手先の技術に頼って「心」をおろそかにすると、つまらないお話になってしまいます。パパが自ら絵本の世界に入って、「絵本を読むこと」を楽しみましょう。